業者の無料診断は怖い!
~正確な調査診断と適切な改修設計書作成が基本~ |
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建物が傷んでくると様々な業者が営業攻勢ををかけてきます。仕事を取らんがために『無料診断』と称して劣化写真帳を持ってきたり、手持ち金に合わせた見積を持ってきたりします。工事後2~3年で塗膜剥離や漏水が発生し、『こんなはずではない』とトラブルになることも…。
建物を50年、100年と長持ちさせる観点からコンクリート躯体の劣化調査が重要ですし、給排水やガス・灯油・電気設備等は隠蔽部が多いので特に注意が必要です。この際、調査診断から改修基本設計、工事予算まで一括して業務委託するのが合理的です。このような業務は、より専門的で経験が必要といわれており、多少のお金を払っても建物の劣化診断や改修設計の経験のある建築士に依頼するのが無難です。
管理組合で調査もせず改修設計書も作らずに、業者に任意の条件で見積させるケースがありますが、この場合、専門家でも比較的対象は無理で、混乱の原因となりますので注意が必要です。 |
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工事業者の選考は公明正大に、かつ慎重に! |
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多くの業者の中には悪質な業者や経営不安定な業者もいます。従って、工事業者の公募にあたっては『見積参加資格条件』を定め、建設業許可の種類、最近の決算書、マンション工事実績、労災事故や社会的・道義的違反の有無、技術者名簿で内容を吟味し、事前にランク付けしておくぐらいの準備が必要です。また、独自に定めたランク付けと見積金額と内容、使用材料、工法の適否などの諸条件を総合評価し、選考するなど一工夫がいるところです。
これらの選考過程をニュース等で常に公開・報告することで、協力者を増やすことになります。また、建築業界には未だにバックマージンやリベートの悪習が根強く残っており、情報の公開は、これらの誘惑を排除することにもなります。修繕委員会で倫理規定を設けることも大切なことです。 |
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安い工事は手抜き工事、粗悪工事と背中合わせ!
~工事監理者に検査依頼も~ |
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数社の業者で「入札」または「見積もり合わせ」で競争させれば当然「安い買い物」ができますが、建築工事の場合はこの「安い価格」で工事が行われるので、業者は利益追求のため「手間」をかけず、「早く」工事を進めようとします。よって手抜き工事、粗悪工事と背中合わせなのです。
見積参加業者への改修設計図書の現場技術説明、見積内容の検討と業者選考の協力、住民への工事説明会、工事中の工程毎の検査、竣工図書の承認、アフターサービスの立会い等、工事着工から、完了、アフターまで、改修に経験のある建築士の協力を得ることが結果として『上手な買い物』をすることになります。 |
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